1926年スタインウェイ

使用したピアノについて-1926年スタインウェイ-
(弘中俊也氏の献身的な調律に感謝致します)

楽器にも運命もしくは自分の意思というものを持っているのだということをこのピアノによって、今でも日々実感させられている。

10年前知人の紹介でこのピアノと対面した時のことはいまでも忘れられない。主のいない何年も閉めきった部屋の中で厚いほこりを被って、このピアノはじっと耐えているように見えた。ただの粗大ゴミではないかというみんなの反対を押し切って家に引き取り、整理したり、調律したりするだけで日に日に音が出てきた。

わが家にきてから2年が過ぎたある日、たまたま神戸へ出かけていた家内が地元の新聞にスタインウェイの修復に一生をかけている という方の記事を見つけたご縁で、彼にピアノのオーバーホールをお願いすることとなり、半年の予定で神戸の彼の工房へ送ったが、予定より大分早く完成して岡山に戻った2週間後に阪神大震災が起こり、東灘区にある彼の工房が全壊、きわどい所でピアノが命拾い したことからこのピアノの持っている運命の力を感じるようになった。

その後このピアノがいきるようにとのことで、ピアノのために小ホールを作らされ、数々の一流のピアニストに弾かれる身分にのし上がり、そしてなんと最高の巨匠によって皆様にラフマニノフの生きていた時代の最良のスタインウェイの音色を披露するまでになってしまった。

2003年4月、11月、2004年7月、そして2005年1月と、岡山にてルース・スレンチェンスカによって計13回のコンサートが行われ、その上6枚のCD(2005年7月でさらに4枚制作する予定)に巨匠とともに歴史に残る芸術の創造に携わったこのピアノの行く末を私は見守っていきたいと思う。

三船文彰

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